教会だより

2017年08月727号

先達者たちに学ぶ

アダム・クジャク】

マタイの福音書に「私(イエス様)よりも父や母を愛する者は、私にふさわしくない。私のために命を失う者は、かえってそれを得るのである。」(マタイ.

10章.37節39節)という言葉があります。

エスコラピオス会の創立400周年にあたり、私はイエス様のため、日本の宣教のために命を失った2人のエスコラピオス会修道者を思い出します。

私とヘルマン神父様の出会いは12年前の四日市の修道院でした。その時ヘルマン神父様は海星学校の学園長と理事長として、四日市と横浜を日帰りしていました。しかしその日は、私が住んでいた追分の修道院に一晩泊まってくださいました。

ヘルマン神父様は自分のことは二の次で、子供たちや周りの人たちに時間と力を捧げ、尽くしている人でした。それぞれの人たちに励ましと慰めの言葉をかけ、誰かにストレスがあるなと気付いた時はいつも「気にしないで」と言っていました。

10年前、戸部教会のペレア神父様が突然大腿骨を骨折された時、私は学校と教会の仕事を手伝うように頼まれました。それが横浜の戸部教会でヘルマン神父様と一緒に住み、親しくなる機会となりました。

彼は膨大な量の仕事をかかえているにもかかわらず、常に入院しているペレア神父様を見舞っていました。私も彼と一緒に毎日病院にご聖体を持って行きました。行動を共にしていて、ヘルマン神父様が健康を害しているのではないかと気づきました。そしてある日、重い肺気腫であるという事が分かり、すぐに救急車でみなと赤十字病院に運ばれました。

このような訳で、私は戸部教会で働くことになりました。幸いにも2人とも同じ病院に入院していましたから、毎日ご聖体を届けること、見舞うことが出来ました。

1ヶ月くらいでヘルマン神父様は退院されましたが、酸素ボンベの奴隷となり、今までと同じような生活はできなくなりました。しかしヘルマン神父様は進行性の病気で呼吸のトラブルがあるにもかかわらず毎日ミサをたて、洗礼授業を行い、海星学校に通い、全身全霊を周りの人たちに注いでいました。

イエス様と聖ヨセフ・カラサンスの模範にならい、いつも信者だけに限らず、いろいろな人達にも仕えていました。苦しみと胸の痛みにもかかわらずヘルマン神父様の口から文句を聞いたことがありません。いつも陽気でした。

何回か病院で意識を失われ、ICUに入り、最初は取り外しができる人工呼吸器が付けられましたが、数週間の後、呼吸筋が働かなかったので気管切開の手術をして、はずせない人工呼吸器を取り付けられました。手術は成功しましたが、体の状態は徐々に悪くなっていきました。

ヘルマン神父様の地上の旅路は苦しみと悩みで満たされ、四旬節と重なりイエス様の十字架の道行きを見ているようでした。2012年6月17日の天国に入る前に、永遠の命の糧である聖体拝領をし、二回「病者の秘跡」を受けられました。

それからもう一人、神様から日本に遣わされたペレア神父様を思い出しましょう。10年前にペレア神父様は突然大腿骨を骨折され、みなと赤十字病院に入院されました。その時、私は毎日病院にご聖体を持って通いました。寝たきりのままでしたのでエコノミー症候群になり、病院で心臓の右の心房に血の塊が入ったため危篤状態になりました。しかし奇跡的な回復を遂げ、今度は足のリハビリのために朝倉病院に移りました。

病院では信者のことを心配して、よく祈っていました。そして「牧者がいないと羊の群れは散らしてしまいます」と言われました。退院してからはすぐに司祭として熱心にミサ、赦しの秘跡、南米の人たちの司牧、祈り、霊的な活動を果たすために努力しました。

一緒に戸部教会で暮らした時、ペレア神父様から色々なことを学び親しくなりました。ペレア神父様は祈りの人でした。皆のために毎日ロサリオを唱えていました。

いつだったか私と考えの違いでぶつかった時、夜になり私の部屋のドアを叩き、和解のために来られました。年上なのに謙遜な気持ちで私に謝罪をなさり、私も心を打たれ互いに和解し、涙したこともありました。

2011年9月18日に元気で祖国スペインに帰国し、パンプロナのエスコラピオス会の施設に入りました。時々私は電話をして「ペレア神父様、お元気ですか」と聞くと、いつも同じ言葉で「まだ生きているよ」と答えました。そんなペレア神父様も2016年2月1日に、亡くなりました。

大勢の司祭方、修道者たち、友人たちを私たちの人生に送って下さったことを、神様に感謝しましょう。彼らが私たちに、もっと聖なる人になるように働きかけてくれることに対して神を賛美しましょう。 そしてミサのとき、日本の宣教、イエス様のために命を失ったヘルマン神父様とペレア神父様をはじめ亡くなられたエスコラピオス会の修道者たち、私たちが出会った方々のために祈りましょう。

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