教会だより

2021年06月773号

ご聖体の秘跡

ラジュ・アントニー

皆さんご存知のとおり、6月はイエスのみ心に捧げられた月です。今年のイエスのみ心の祭日は6月11日です。6月6日はキリストの聖体の祭日です。そこで、今月の教会だよりは、聖体の秘跡についてお話ししたいと思います。

ある日、一人の異端者がパドヴァの聖アントニーに、彼のロバがご聖体に頭を下げたら、キリストが本当にご聖体におられると信じてもいいと言いました。彼らは三日後に試してみることに決めました。その異端者はそれから三日間ロバに何も食べさせませんでした。決められた時間になった時、聖アントニーはご聖体を手にして片側に立ち、異端者はロバのための飼い葉を持ってもう一方の側に立ちました。ロバは、飢えていたにもかかわらず、ご聖体の前に行き、ご聖体を礼拝するためにひざまずきました。

カトリック教会と他のほとんどのキリスト教の教派を分ける重要なものの一つは、パンとぶどう酒がひとたび司祭によって聖別されれば、実際にイエス・キリストの御体と御血になるという信仰です。ご聖体は聖餐(交わり)とも呼ばれ、イエス・キリストの御体と御血をいただき、イエスの一度きりの犠牲に与る秘跡です。聖体の秘跡のこの二つの側面の最初の部分は、聖体拝領とも呼ばれています。

『カトリック教会のカテキズム』1374は、聖体におけるイエスの現存についての信仰を概説しています。何年もの間、この信仰を証明する多くの奇跡的なしるしが起こりました。これらの奇跡は、人間の論理や科学では説明できません。

ご聖体は犠牲であるだけでなく、秘跡です。ご聖体は、犠牲としてまず神に、そして秘跡として私たちに関連しています。ご聖体を通して神は、私たちが永遠の命を得て救われる恵みを、私たちに授けてくださいます。神はその恵みを私たちに与えることによって、神ご自身の本性と生命活動にわたしたちが与ることができるようにしてくださいました。神のいのちは適切な食物を求めています。天使のパンは、聖変化 (Transubstantiation)を通して、人間の食べ物となったのです。救い主イエスの愛と力の恵みであるこのパンは、私たちが父から受け取るにふさわしい唯一の食物です。それは私たちに不思議な効果を生み出します。第一の効果は、それが私たちの魂に神の命を与えるということです。神が教会に与えられたすべての贈り物の中で最も偉大なものは、イエス自身の御体、御血、御霊魂、神性に他ならないご聖体です。ご聖体のホスチアの中に、私たちの救い主であるイエスが完全なかたちで住んでおられます。イエスは本当に私たちと共におられる主です(インマヌエル)。イエスは教えの中で、「わたしは、天から降って来た生きたパンである。このパンを食べるならば、その人は永遠に生きる」(ヨハネ6:51)とおっしゃいました。教皇聖ヨハネ・パウロ二世は、「これはイエスからのあなたへの個人的な招待です」と教えています。

「イエスはこの愛の秘跡の中で私たちを待っておられるのです。聖体礼拝や信仰に満ちた観想においてイエスと出会う、そのために出かけて行く時間を惜しまないようにしましょう。そして私たちの礼拝によって、世界の大きな過ちや罪に対する贖いが絶えず続いていくように、心構えを整えておきましょう。」(教皇聖ヨハネ・パウロ二世書簡『ドミニケ・チェネ』(Dominicae Cenae, February 24, 1980)

ご聖体を受けることはわたしたちができる最も重要なことの一つです。ご聖体はすべての秘跡の中で最も重要です。ご聖体の秘跡は、七つの秘跡の中で、わたしたちが実際に、直接にイエスを受けることができる唯一の秘跡です。ですから、ご聖体を拝領するとき、私たちの魂は聖なる恵みの状態になければなりません。体の食べ物が死体に利益をもたらすことはできないように、ご聖体は罪に落ちた魂に利益をもたらすことはできないのです。

聖アウグスティヌスは復活祭の説教でこう勧めました、「ご聖体をふさわしく拝領すれば、私たちは私たちが拝領したものになります」。そして、イエスを受けることによって、私たちは父と聖霊と共に、神において一体となります。主イエスをご聖体の形で拝領するとき、皆さんの中に住む神に対する敬意と愛をもってそうしてください。そして、聖パウロと一緒に私たちは、「生きているのは、もはやわたしではありません。キリストがわたしの内に生きておられるのです」(ガラテヤ2:20)と言うことができます。

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