教会だより

2023年05月796号

聖母マリア、私たちのために祈ってください

【ラジュ・アントニー】

今年も五月を迎えました。皆さんがご存知の通り、教会ではマリア様に捧げられている月です。去年の五月の教会だよりでもこれについて少し書きましたが、今回もこのテーマを続けたいと思います。

私は子供の頃からマリア様への深い信心が身についていました。それはお母さんのおかげです。毎朝ミサの後でお母さんと一緒にマリア様の御絵の前で跪いて祈った後、家の庭から持って来た花をマリア様に捧げる習慣がありました。毎晩7時頃から、家族皆で一緒にロザリオを唱えた経験もありました。

毎年五月になると、1日から31日まで毎晩7時から、マリア様に特別に祈る集いが小教区のチャペルで行われていました。今でも行われています(このチャペルは主聖堂から1km位離れたところにある聖堂で、私の母方の家族が小教区に寄贈したものです)。この祈りの会の進め方は、次のようなものです。十字架のしるしの後、アンジェラス(お告げの祈り)を唱えます。次に聖書朗読と沈黙の時間があります。それから特別の意向をもってロザリオを唱えます。その後でマリア様への奉献の祈りを捧げます。終わりには、主任司祭か助任司祭が来て、サルヴェ・レジナを歌いながら聖水を振りかけ、参列者と、そこに用意された甘いライスケーキを祝福します。この後、皆はこのライスケーキを食べながら少し分かち合いの時間を過ごしてから、自分たちの家に帰ります。

このような経験が私の心には深く刻まれています。そのため、エスコラピオス修道会の創立者である聖ヨセフ・カラサンスのマリア様への深い信心に興味があります。聖ヨセフ・カラサンスの生涯を見ると、マリア様のとりなしによって行われた奇跡がたくさん記されています。これらの中の一つをここで紹介します。

ローマの南にあるフラスカーティという小さな都市にあるエスコラピオス修道院で起こったことです。ブラシという名の婦人が、亡くなった小さな子どもを抱えて学校へやって来て、どうしてもヨセフ神父に会いたいと懇願しました。 ヨセフ神父が彼女に会ったとき、ブラシさんは泣きながら、「今朝わが子に添い寝していたら、つい居眠りしてしまったので、自分の体で子どもを窒息させてしまいました。 どうか神父さま、何とかしてください」とお願いしました。ヨセフは小さな死体を受け取り、どうしようかと迷いました。突然ひらめきがありました。すぐに全校生徒を聖堂に集めるよう神父たちに願いました。皆聖堂に入ったとき、ヨセフは子どもたちに向って、「マリアさまのとりなしによって、キリストさまから大きな恵みをいただけるようサルヴェ・レジナ(元后あわれみ深き御母)を歌いましょう」と言って、自分は死んだ子ども抱きながら、祭壇の前に跪いたのです。 子どもたちの歌が進んでいく間、ヨセフは神さまが御力を現わしてくださることを心からお祈りいたしました。歌のメロディーが消え去ると同時に、子どもの泣き声が聞こえました。

ヨセフはその子をお母さんに渡して、「マリアさまのとりなしを願う子どもたちの祈りは凄い力がありますね。とりなしてくださったマリアさまに感謝してください」と言ったのです。その不思議な出来事を見た子どもたちは多かったし、いまだにその地方にはブラシという苗字をもっている数名の人々がいて、生き返った子どもの子孫であるといわれています。聖母マリア、私たちのために祈ってください。

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