教会だより

2022年10月789号

聖なるロザリオの力

ラジュ・アントニー】

カトリック教会では、10月は、聖なるロザリオの祈りを唱えることによって、聖母マリアを崇敬するために特別に捧げられた月です。今月の教会だよりでは、この聖なるロザリオの力について、じっくり考えてみましょう。

教皇聖ヨハネ・パウロ二世は、使徒的書簡『おとめマリアのロザリオ』の中で、次のように記しています。「ロザリオは、その十全の意味が再発見されるならば、キリスト教的生活のいわば真髄にまで人々を導きます。

また、それは親しみやすいだけではなく、個々人の観想、神の民の養成、また新たな福音宣教のために、特別に実り豊かな霊的・教育的機会をもたらすのです」(前掲使徒的書簡3)。「ロザリオを祈るとは、わたしたちの重荷をキリストと聖母のあわれみ深い心にゆだねることです」(同25)。

「教会はこれまでつねにロザリオを特別に効果のある祈りと考えてきました。それゆえ、大きな難問の解決を、声に出して唱えたり、たえず唱えたりすることによって、ロザリオに託してきたのです。キリスト教そのものが危難にさらされているときに、教会はロザリオの祈りの中に危難から逃れる力を見いだし、ロザリオの聖母に、その執り成しによって救ってくださるよう、祈り求めました」(同39)。

「ロザリオの歴史が示すように、ロザリオはとくに、異端が広まったために教会が困難に陥った時代に、ドミニコ会士たちによって用いられました。今日、わたしたちはまた別の新たな問題に直面しています。どうしてわたしたちは前の時代の人々と同じ信仰をもって、いま一度ロザリオを手にしないのでしょうか」(同17)。

教皇聖ピウス5世の在任中、トルコの海軍は、ヨーロッパを侵略しかねないほどの脅威となっていました。差し迫った危険を憂慮し、教皇は照らしを祈り求め、そして、すべてのヨーロッパの指導者たちに、団結して軍隊を編成することを呼びかけました。教皇は、すべての兵士にロザリオを与えました。1571年9月30日レパントの海戦において、強大なトルコ艦隊と戦いを交え、同年10月7日教会側が勝利しました。教皇聖ピウス5世は、聖母を称えるために、10月7日をロザリオの聖母を祝う記念日に定めました。レパントの海戦の勝利は、聖なるロザリオの力によってもたらされた多くの輝かしい戦いのうちの一つです。

1945年8月6日太平洋のテニアン島から離陸した B-29 スーパー要塞爆撃機、エノラ・ゲイは、日本の広島に原子爆弾を投下しました。午前8時15分、死をもたらす原子爆弾は、猛烈な熱を伴って爆発し、半径3キロメートル以上の範囲内のほとんどすべてを破壊しました。原爆の爆発そのものによって78,000人が死亡し、さらに約 175,000人が放射線被害により死亡しました。このような死の爆撃により、爆心地近くにあった被昇天の聖母教会も大きな被害を受けましたが、7人のイエズス会司祭は、致命的な怪我や放射線被害もなく、爆風を生き延びました。その中には、ヒューバート・F・シファー神父、ヒューゴ・ラッサール神父とクラインゾルゲ神父がいました。このイエズス会の司祭たちが経験した現象を科学的に説明するために、200人の科学者により数年間調査が行われました。しかしシファー神父は、1976年フィラデルフィアで開催された聖体大会の中で述べています。彼らの修道院では特別な保護を願って毎日ロザリオを唱えていたのでした。

聖なるロザリオの力に関して、シスター・ルシアは、1957年の有名なインタビューの中で、フエンテス神父に次のように語っています。

「よろしいですか、神父さま、私たちが生きているこの最後の時代に、至聖なるおとめは、聖なるロザリオの祈りに新しい効力を与えられました。どれほど困難なことであったとしても、世俗的なことであれ、とりわけ霊的なことであれ、私たち自身、私たちの家族、世間の家族あるは宗教的共同体における、その一人ひとりの個人的な生活の中で、あるいはさらに民族や国家の趨勢においても、ロザリオの祈りによって解決できない問題はありません。繰り返しますが、聖なるロザリオの祈りによって解決できない問題はありません。聖なるロザリオによって、私たちは自分自身を救います。自分自身を聖化します。私たちの主を慰め、多くの霊魂の救いを得るのです。」

聖なるロザリオの力に関するこの証言は、とても印象的ですが、ロザリオの祈りは、秘跡を受けることの代わりになるものではありません。とりわけ、私たちの霊的成長のための、聖体の秘跡に代わるものではありません。このことを忘れないようにしましょう。聖なるロザリオに信頼し、聖母マリアの特別のご保護に依り頼みましょう。

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